「社内説明を動画にすれば、何度も同じ説明をしなくて済む」
そう考えて、社内研修や業務説明の動画化に取り組む企業が増えています。
実際、動画化によって得られるメリットは少なくありません。
- 新人教育の効率化
- 説明内容の標準化
- 担当者の負荷軽減
- ノウハウの蓄積
特に、人事・総務部門や教育担当者の方からは、
「同じ説明を何度も繰り返している」
「担当者によって説明内容にばらつきがある」
「説明業務に時間を取られ過ぎている」
という悩みをよく耳にします。
ところが、いざ動画を作ってみると、期待したほど活用されないケースも少なくありません。
「最初は見られていたけれど、そのうち誰も見なくなった」
「結局また担当者が口頭で説明している」
「動画が古くなってしまい、使えなくなった」
「古い動画があることで、新たな問い合わせが生じている」
もし心当たりがあるなら、それは動画の品質の問題ではないかもしれません。
今回は、社内説明や研修を動画化したのに使われなくなってしまう理由について考えてみたいと思います。
よくある失敗パターン①「作って終わりになる」
最も多いのが、このパターンです。
動画を作るプロジェクトは無事に完了した。
社内ポータルにも掲載した。
共有フォルダにも格納した。
…しかし、その後どう活用するのかが決まっていない。
例えば、
- 新入社員はいつ見るのか
- 誰が視聴状況を確認するのか
- 見た後に理解度をどう確認するのか
といった運用ルールが曖昧なままになっていることがあります。
その結果、動画は存在しているものの、実際には活用されない状態になってしまいます。
これは動画そのものの問題ではなく、運用設計の問題です。
よくある失敗パターン②「更新されない」
社内向け動画には、必ず賞味期限があります。
業務手順が変わる。
制度が変わる。
システム画面が変わる。
会社のルールが変わる。
企業活動を続けている限り、内容の変更は避けられません。
しかし動画制作を外部に依頼している場合、
「修正するほどではないか」
「また予算を取るのが大変だ」
「そのうちまとめて直そう」
という状況になりがちです。
すると少しずつ内容が実態とズレていきます。
やがて現場では、
「あの動画は古いから見なくていい」
と言われるようになります。
動画が使われなくなるのは、動画が悪いからではありません。
更新できない仕組みになっていることが原因です。
よくある失敗パターン③「誰も責任を持たない」
動画制作はプロジェクトとして進めやすい一方で、運用責任者が曖昧になりやすいという特徴があります。
動画を作るまでは担当者がいる。
しかし公開後は誰も管理しない。
すると、
- 修正されない
- 利用状況が把握されない
- 新しい動画も追加されない
という状態になります。
実は、多くの社内動画が使われなくなる最大の理由はここにあります。
「誰が管理するのか」
が決まっていないのです。
本当の原因は「動画を成果物として考えていること」
ここまで読んでいただくと、お気づきかもしれません。
これらの問題に共通しているのは、
「動画そのもの」
ではなく、
「動画の位置づけ」
です。
多くの企業は、
「動画を作ること」
をゴールにしてしまいます。
しかし本来の目的は、
- 説明工数を減らすこと
- 教育品質を揃えること
- 属人化を防ぐこと
- ノウハウを残すこと
のはずです。
動画はあくまで手段です。
動画を作ることが目的になると、完成した瞬間にプロジェクトは終わります。
一方で、説明業務を仕組み化することが目的であれば、動画は運用され続ける前提で設計されます。
この違いは非常に大きいと感じています。
使われ続ける動画には共通点がある
では、使われ続ける動画にはどのような特徴があるのでしょうか。
私が企業向け動画配信や研修コンテンツ制作に携わる中で感じているのは、次の3点です。
1. 完璧を目指さない
最初から100点の動画を作ろうとしません。
むしろ、
「後で修正できること」
を重視しています。
2. 長い動画を作らない
60分の動画を1本作るより、
5分〜10分程度の動画を複数作る方が運用しやすくなります。
修正も簡単ですし、視聴者も必要な箇所だけ確認できます。
3. 自社で更新できる
これが非常に重要です。
社内向け動画の多くは、テレビCMや企業PR動画とは違います。
派手な演出や高度な編集技術が求められるケースはそれほど多くありません。
むしろ、ほとんど必要ないと言っても良いでしょう。
何よりも重要なのは、
「分かりやすく伝えること」
です。
PowerPointで資料を作成している企業であれば、すでにその土台は持っています。
だからこそ、外部に依存せず、自社で更新できる形を目指した方が長期的には運用しやすくなります。
動画編集スキルより大切なもの
動画というと、
「高価な編集ソフトが必要なのでは」
「プロレベルの編集技術が必要なのでは」
と思われることがあります。
しかし社内向け動画の場合、重要なのは演出ではありません。
重要なのは、
- 情報を整理すること
- 分かりやすく構造化すること
- 説明内容を標準化すること
です。
実際には、動画編集のテクニックよりも、業務内容を整理して伝わる形に設計する力の方が重要なケースがほとんどです。
まとめ
社内説明や研修を動画化したのに使われなくなる原因は、動画の品質ではありません。
- 作って終わりになる
- 更新されない
- 責任者がいない
こうした運用上の問題が原因であることが多いのです。
だからこそ私は、動画を「制作物」としてではなく、「説明を仕組み化するための手段」として考えることが重要だと思っています。
動画を作ること自体は、それほど難しくありません。
本当に難しいのは、作った動画を使い続けられる状態をつくることです。
もし社内説明や研修の動画化を検討しているのであれば、まずは「どんな動画を作るか」ではなく、「どう運用するか」から考えてみてはいかがでしょうか。
実際に「まず1本だけ作ってみる」支援も行っています。
小さく試しながら、自社に合った運用方法を見つけることも可能です。
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